平成20年度税制改正要望事項
社団法人 福岡県法人会連合会
1.基本事項
政府の発表によるよると日本経済は好調を維持し、
税収も増加しているとのことである。
この企業の好調さが家計へ波及し、
国内の民間需要に支えられた景気の回復が続くだろうと
予想されている。
しかし、この好調さは業種や地域によって差が生じている。
又、一部大企業の好調さが目立って
中小企業まで景気の回復が実感できるまでには至っていない。
さらに、地方の中小企業においては公共事業等の抑制によって、
特に建設関係の廃業が増加している。
こうした中において、わが国の財政状況は一向に好転の兆しはない。
財政健全化に向けて行財政改革が重要課題となっている。
更に少子高齢化及び国際化、
情報化社会等の経済社会の変化に対応した税制の構築が急務となっている。
税制改正については、当面の問題として消費税に焦点があたっているが、
参議院選挙間近に控えてなりをひそめている。
政府としては財源確保の為、消費税率をアップしたいところであろう。
福岡県連としては今までも主張してきたように
行財政改革を徹底してやった後、
税率アップもやむなしという見解である。
団塊の世代が企業を去り、年金受給者となり始めている。
このことは財政政策上重要なことである。
政府は定年延長を法制化して乗り切ろうとしている。
こうしたこともいずれ時間の問題なので財源確保もさることながら
「小さな政府」づくりを目指してほしい。
我々がつくった財政負担を若い世代に負わせるべきではない。
早急な対応を望んでいる。
また、昨年5月1日から新会社法に関連する
「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度」が施行されたが、
この法律が今年の5月申告法人より適用される。
当初の予想ではあまり影響はないと言われていたが、
現実的には新設法人もさることながら、
既存の企業も該当するところがあり、一拠に政治不信を現出している。
今回の税制改正で2年目から適用除外基準所得金額が
800万円から1,600万円になって免れる企業もあるが、
この法律そのものに問題があるので、
福岡県連としてはこの法律の廃止を求める。
国会議員はもっと勉強してこうした官僚の暴走をいさめてもらいたい。
租税法律主義の原則を忘れないよう要望する。
そこで、
①納税者の権利と義務を明確化
②税制改正過程の透明化と納税者の事前意見表明手続を制度化
③税金の使途に係る、知る権利の保証制度等を盛り込んで納税者権利憲章の制定
以上3つを要望する。
Ⅱ 個別事項
1 法人の税負担のあり方
(1)法人税率の引き下げ国際競争力を高める上から
アジア諸国のように実効税率を20%まで引き下げるべきである。
(2)法人税の外形標準課税の導入
資本金1億円超の企業の外形標準課税が導入された。
資本金1億円以下の中小法人については、当面の間、
景気の回復を待って導入すべきである。
(3)課税ベースの拡大は好ましくない
企業会計に関して諸法規には企業会計原則を斟酌すると規定している。
大半の企業が公正に会計を行っているので、
この課税ベースの拡大という措置が継続されれば
税によって会計が歪められる恐れがある。
(4)交際費課税の緩和
現在の厳しい経済環境の中で企業が支出する経費で
冗談といわれるような支出の計上はないと思われる。
損金算入割合を100%認めるべきである。
(5)賞与引当金制度の復活
企業の財政状態を健全に保持する観点から、
企業会計原則も将来の支出に備える引当金の計上を認めている。
賞与引当金制度の廃止は、税制が企業の健全性を侵すことになる。
(6)欠損金の繰り戻し制度の復活等
赤字申告法人の業績回復の救済方法としての繰り戻し
還付制度を早急に復活し、企業の立ち直りに寄与すべきである。
(7)中小企業の税の軽減
現行の大法人と中小法人の区分の内、中小法人については
更に中企業と小企業に細分し、小企業の法人税負担を軽減すべきである。
格差の大きい中小法人を同率とするのは不均衡である。
また、小法人適用所得金額は2,000万円を要望する。
また、中法人の軽減税率の適用を1,500万円に引き上げる。
(8)ベンチャー企業の育成
中小企業活性化のために、特に新規企業が育つよう
創立から3年間は、税制面で支援することが必要である。
(9)印紙税の廃止
印紙税は消費税のからみで廃止することが妥当である。
(10)公益法人等の課税の強化
収益事業の範囲を適正にして、課税の公正化を計るべきである。
(11)「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度」の廃止
この法律は新設2年目にして一部改正が行なわれ、
適用除外基準所得金額が800万円から1,600万円に引き下げられた。
このことは評価できるが、制度そのものは存続している為、
制度そのものの廃止を求める。
2 個人の所得課税のあり方
(1)課税最低限の引き下げと公平な税負担
公平な課税を図るため多くの人が負担する仕組みに改める必要があり、
累進税区分や諸控除制度、最低税率を見直すべきである。
(2)所得税の税率適用の軽減と所得区分の拡大
①税率適用所得を5,000万円超として、それ以下の適用区分をそれぞれ広げる。
②住民税を含めた税負担率を最高40%とする。
(3)各種所得控除の簡素化
配偶者控除、扶養控除、特定扶養控除、保険料控除などを
整理統合し、その控除額を引き下げて簡素化する。
(4)公的年金の控除額見直し
年金受給者であっても、他に所得を有する者と
そうでない者との控除額を見直し、他に所得を有する人については
応分(税)の負担を求める。
年金のみのひとは確定申告を不要とする。(事務量の削減)
(5)社会保険診療に係る所得計算の特例の廃止
課税の公平化の見地と、医師優遇税制の目的は達成しており
実学計算の趣旨をはずれているので廃止を求める。
(6)不動産所得の損益通算の特例の廃止
投資意欲の向上、土地流動化の面から考えても、
すでに終了した制度と考えられるので廃止を求める。
(7) 少子化対策
少子化対策として児童の有る者の税額控除制度を創設する。
3 資産課税関連
(1)事業継承制度の改善
中小企業の事業継承者に対して特例制度を設ける。
特に老舗は資産評価が高くなり、相続税の負担により
事業継承が困難になっている。
農業継承者に対する特例制度のようなものが望ましい。
諸外国の事例を参考に中小企業の事業の継承がスムーズに行くよう要望する。
(2)不動産所得の損益通算の特例の廃止
投資意欲の向上、土地の流動化の面からも
役目を終えた制度であり廃止を求める。
(3)宅地建物取引業者の棚卸資産に係る不動産取得税を非課税とすること
宅建業者が棚卸資産として土地建物を取得する行為は、
他に販売することを目的とした一時的・経過的なものである。
棚卸資産に課税された不動産取得税は取得経費として
販売価格に転嫁され、最終的には消費者の負担となる。
このような消費者への負担増へつながるものを
取り除くことにより市場が活性化し、
景気の回復を一層促進させるために、
宅建業者への棚卸資産に係る不動産取得は非課税とするべきである。
若しくは、取得した棚卸資産を、
取得して3年以内に売却した場合には、
納付した取得税を還付するようにすべきである。
(4)株式の評価額について
取引相場のない株式評価額を現行の評価額より
50%引き下げるよう改正すること。
市場性、換金性がないにもかかわらず上場株式に比べて
割高となっており、事業継承に支障をきたしている。
(5)固定資産税のあり方
固定資産税は、毎年課税されている税である。
課税標準及び税率も低くすべきである。
バブル期において、課税標準である評価が高くされたままである。
実勢に近づけるべきだ。
4 消費税について
(1)税率の引き上げ
厳しい財政状況や行財政改革を実行する上で、
いずれ消費税の税率を引き上げざるを得ない。
(2)免税事業者の判定について
消費税免税事業者の判定期間及び課税事業者・
簡易課税制度選択適用事業者の判定期間を
課税期間の課税売上高とすること。
現行の免税事業者の判定は、前々事業年度の課税売上高を基準期間として
判定しているので、課税期間に1,000万円の課税売上に達しない場合でも
申告・納税が生ずる。
課税期間の課税売上高が1,000万円未満に該当する場合は、
その事業年度の消費税は免除とすべきである。
新規開業者や新設法人も免税点を越える場合には
課税事業者となり矛盾がなくなる。
(3)各種届出書等について
消費税の各種届出書及び承認申請書の提出期限は、
その適用を受けようとする前事業年度の確定申告書の提出期限までとすること。
(4)課税仕入に係る帳簿等の保存規定について
「帳簿及び請求書等の保存」は事務負担が大きい。
消費税法上、課税仕入の事実が証明できれば帳簿記載の必要性はない。
「帳簿又は請求書等の保存」でいいのではないか。
取引事実の担保は請求書等の保存で十分である。
5 地方税のあり方
(1) 事業所税の廃止
6 環境問題に対する税制上の対応
(1)税の徴収時期について
二酸化炭素は石油関係税との調整が必要と思われるが、
所謂ゴミ処理問題については、スクラップ時に税を徴収するのではなく、
販売時点で税を徴収するような税制にすべきである。
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